現在の制作過程

  • 聖書取材について
 【聖書】の言葉をただ説明的に写し取るのではなく、制作する聖書箇所を熟読し、祈りを込めて、聖霊の導きを感じて構図を創る。手先で描くという事ではなく、祈りを込めて全身全霊で画面に線描で注ぎ込んでいく。瑞々しく、生き生きとした表現を求めて、絵具を緩くし、何層にも重ねたグレース手法で奥深い色彩表現を決めていく。形態と色彩の絡み合いを通して、信仰のムーブマンと造形のムーブマンが一致すれば必ず良い作品になると信じて、日々カンバスと格闘している。
  • 「神との対時」
キリスト教美術の始まりは、ローマにあります古代の地下墳墓(カタコンベ)の壁画や天井画であると云われています。これらの描き方は当時のローマ帝国時代の影響が強いとされているのが一般的ですが、美術史の、M・ドヴオルシャツクは、「墳墓壁画は推拙で原始的美術では決してなく、模倣による理想的人体、また均整をめざす古典美術に対し、全く新しい芸術表現である…それは、描かれたものの精神が時間や地上の束縛から解放され、無限の世界において表徴されており、究極の芸術目標として、この最古のキリスト教絵画は、同時代の異教的絵画とは全く相違しているものである。」と語ります。 安富氏は、いつも聖書を前にし、聖霊の導きを求めて筆を進めておられると聞く、そこにあるのは、この世の流行や可憐な世界への憧れではなく、今、自分を支え、生かしている目に見えないお方への信仰であり、そのお方との壮絶な闘いである。 罪ある者と聖なる者とが互いに関わるほどの壮絶な闘いはない。その格闘の中からついに色と形が生まれ出て、人々の前に現れたのが安富氏の一連の作品ではなかろうか。そして、その激しい闘いを一向に辞めないのは、それが安富氏に与えられた天職であるからに違いない。 安富氏は地下墳墓から始まったキリスト教美術の本質を、現代にまで受け継いで、おられるのである。安富氏の作品には、大地を揺り動かす風があり、そこに強烈な光が差し込んでいるようです。

町田俊之(バイブル&アートミニストリーズ代表)

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